- 初めてオスラー病(HHT)と診断されたあなたやご家族へ
- オスラー病かも知れないあなたへ
解説リーフレット(PDF) A4×4枚
患者会で作成したリーフレット
患者向けガイドブック HHTQ&A50
このオスラー病ガイドブックは、オスラー病患者会とHHTJAPAN(日本HHT研究会:専門医の会)が協力して作成しました。
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歯科治療・ケガ(キズを伴う外傷)の注意点
肺の動静脈瘻(肺動脈と肺静脈の間のシャント)を持つ患者さんは、歯の治療時には予防的抗生物質投与が必要です。
同様に、傷を伴う外傷の時も予防的抗生物質投与が必要です。
これは抜歯などの治療時に、血液中に菌が入り菌血症状態になるからで、通常、菌血症になっても肺がフィルターとなるため、予防的抗生物質投与が無くても大きな問題になることはありません。
しかし、肺の動静脈瘻があれば、この部ではフィルターがないために静脈系から動脈系に菌が入り込み、もっとも重症の合併症である脳膿瘍になることがあります。
脳以外の部位にも膿瘍を作ることもあります。
脳膿瘍とは、脳そのものの中に膿が溜まる場合や脳の表面に膿が溜まる場合(硬膜下膿瘍と言います)があり、意識障害、けいれん、半身麻痺などが出現し、致命率も高く、治療を行っても後遺症を残す場合が多いです。
これを予防するために、歯科治療時や傷を伴う外傷の時には、予防的抗生物質投与が必要です。
投与する抗生物質や期間に決まったものはないですが、まず忘れずに、投与するということが大事で、その種類は、最も一般的な切り傷のとき使うもので、いいと思いますし、期間も3−4日もあれば十分でしょう。
また、遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)で肺の動静脈瘻の治療後の患者さんでも小さな瘻が残存している可能性があるため、やはり予防的抗生物質投与を行った方が良いとされています。
実際は、大きな肺動静脈瘻は、処置できていても、治療の対象にならない小さな瘻が、多数治療せずに残存したり、治癒したと思っていても(医師も患者も)、実際は、肺の動静脈瘻が閉塞していない場合もあるかもしれません。
肺動静脈瘻とダイビング
オスラー病のガイドライン[1]では、肺動静脈瘻を持つ場合、またはオスラー病の患者さんで肺動静脈瘻が否定されない場合は、一生、ダイビングは避けるべきであるとしています.すでにダイビングを楽しんでおられる方もおられると思いますが、是非、避けるべきです.治療が終われば、本来はダイビングが可能になるはずですが、オスラー病の患者さんは、他に小さな動静脈瘻がある場合や治療が終わってると言っても、治療の方法によっては2~5割の病変が再発するので、やはりダイビング避けるべきです。
ダイビング中には、高い気圧のせいで、下降中には、体の組織にガスが溶けています.しかし、上昇中には、組織内に飽和したガスが空胞 bubbleとなり、肺胞のフィルターによってこの空胞が除去されない限り減圧障害 decompression illness (DCI)を引き起こします.心臓や肺に右->左シャントがあるとダイバーは、減圧障害を起こすリスクがあります [2].右 → 左シャントを通過した空胞が血管を閉塞し(空気塞栓症)、脳梗塞になります.
もちろん肺動静脈瘻を持つ人が、ダイビングで必ず空気塞栓症を起こすのではないですが、肺動静脈瘻の大きさにも関連し、大きな肺動静脈瘻をもつ患者さんの一部に空気塞栓症が起こるとされています。
医師にオスラー病(HHT)検査をお願いする文章(2016.12改訂)
オスラー病は「放置すると重い合併症状(脳梗塞や脳膿瘍・脳や肺出血など)」を発症する可能性があります。
しかし、これらの多くが予防可能な疾患でもありますから、医療機関でスクリーニング検査を受けるなどして、異常があれば早期に治療されますよう推奨します。
医師・医療機関宛「検査のお願い」文章がダウンロードできますので、必要な方は、かかりつけの医師に提示し相談してください。
オスラー病の診断と治療のガイドライン
HHTの診断と治療のガイドラインとして以下の論文があります。
フリーでダウンロード可能です。
evidence levelの高い事実が少ないHHTの治療のなかで、作成されたガイドライン(PDF)です。
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出典は、塩谷隆信 編著、遺伝性出血性末梢血管拡張症(HHT)の診療マニュアル中外医学社、東京、2011発行、163-170頁、です。