全身に影響を及ぼす「オスラー病」とは?

オスラー病は、全身の血管に異常が生じる指定難病です。この病気の正式名称は「遺伝性出血性毛細血管拡張症(Hereditary Hemorrhagic Telangiectasia)」と呼ばれていますが、「オスラー病」という名前でも広く知られています。

この病気は、血管の壁が正常よりも薄くなりやすく、出血しやすい状態を引き起こすのが特徴です。鼻血が頻繁に出る、皮膚や内臓に毛細血管が拡張して赤い点状や斑点が現れるなど、さまざまな症状が見られます。さらに、肺や脳の血管にも異常が及ぶことがあり、より深刻な合併症を引き起こす可能性があります。

どのように対処する?

オスラー病を治療できる医師は非常に少なくスクリーニング検査(肺・脳・脊髄・肝臓のCTやMRI)・遺伝子検査をした上で治療を完了した後は、主に定期的な検査と主に症状を管理することになります。
例えば、頻繁な鼻血に対してはオスラー病のが詳しい耳鼻科医を受診し電機やレーザー焼灼術などを行わないように止血をしてもらう、貧血が進行している場合には鉄剤や輸血が必要になることもあります。また、内臓や脳の血管異常に対しては、専門的な治療が求められることがあります。

この病気は遺伝性であるため、家族内で発症するケースが多いと言われています。そのため、家族に同じような症状を持つ人がいる場合は、早期診断と適切な治療が鍵となります。

身近なサポートを見つける

オスラー病の患者さんやその家族は、同じ悩みを抱える人々とつながることが重要です。患者会やオンラインコミュニティを活用し、情報を共有し合うことで、不安を少しでも軽減することができます。


患者会では鼻血止血やケアなどの情報や患者目線でのアドバイスを行っています!

鼻の電機やレーザー焼灼術は危険
オスラー病患者の鼻腔内

オスラー病の鼻血止血法を知らない耳鼻科医には注意が必要です。

オスラー病の鼻腔内の毛細血管はどこから出血してもおかしくない状態にあるため、1ヶ所を止めても周辺の血管から出血が始まる可能性があります。また、ガーゼパッキングや挿入、強い圧迫止血も同様に周りの血管を破壊して更に重篤な状態を招きます。
最悪なケースでは鼻腔に穴が空き鼻中隔穿孔になり止血困難になる可能性があります。
治療にはリスクや副作用が伴う場合があり、特にオスラー病のような稀少難病の場合は慎重な対応が求められます。ただ、生命の危険のある場合などはやむを得ず有効な治療法とされています。

以下は、鼻の焼灼術について詳しく説明した内容です。


鼻の焼灼術の安全性とリスク

鼻の焼灼術(しょうしゃくじゅつ)は、主に鼻の内側にある異常な血管を焼いて出血を抑える治療法です。電気焼灼や薬剤を使った化学的な焼灼など、さまざまな方法があります。医師が病状や血管の状態を慎重に評価した上で行うため、基本的には安全性が確保されています。

しかし、いくつかのリスクが伴う可能性があります:

  1. 一時的な不快感や痛み
    手術中や術後に、鼻の奥に違和感や軽い痛みを感じることがあります。
  2. 粘膜の損傷
    焼灼による熱や薬剤が周囲の組織に影響を及ぼし、かさぶたや炎症が生じる場合があります。
  3. 再出血の可能性
    焼灼後も完全に血管の問題が解消されない場合、再び出血するリスクがあります。
  4. 稀な合併症
    感染症や傷の治癒が遅れるケースは非常に稀ですが、完全に否定はできません。

焼灼術以外の治療オプション

もし焼灼術に不安を感じる場合、以下のような他の選択肢について医師に相談してみてください:

  1. 薬物療法
    サージセルや止血材料による止血、トランサミンなどの止血剤服用です。
  2. 保湿やケア
    鼻の乾燥を防ぐためのワセリン・純緻密(海外の医療用蜂蜜)、生理食塩水スプレーや加湿器を使うと、粘膜を保護し鼻血を軽減できる場合があります。
  3. 外科的治療
    鼻血が頻発する場合、より侵襲性の低い方法で血管を遮断する治療法が検討されることもありますがこれも一時的な結果に終わるケースがあります。
  4. レーザー治療
    電気焼灼に比べて負担が少ないと言われる方法で、特に小さな血管の異常に適しています。しかし治療後数日から数週間に新生血管が多数出現し更に出血が憎悪するケースがあります。

焼灼術を検討する際のポイント

鼻の焼灼術を受けるべきか迷う場合は、以下の点を医師に確認してみてください:

  • リスクについて十分な説明を受けたか?
  • 術後のケアや注意点は明確か?
  • 他に選択肢はないのか?

特にオスラー病の場合、病状の個人差が大きいため、専門医の意見を複数聞く患者会に相談するなども有効です。


治療に対する不安があるのは当然のことです。心配な点があれば、遠慮せず専門医や詳しい医師に質問してください。治療方針を自分のペースで理解しながら決めていくことが大切です!

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